ミス・マープルの台詞
(アガサ・クリスティ原作 BBC制作ドラマ「ミス・マープル 予告殺人 3」1985年より)
屋敷に同居していた幼馴染みの友人を失った女主人をミス・マープル(ジョーン・ヒクソン)が慰める言葉。
私事であるが、母を亡くして、最初の衝撃から落ち着くと、なぜか母に意識が向かうたびに涙が出るよりむしろため息ばかりついていた。ただ「もういないのだ」とわかるたびに、空虚にぶつかって胸が苦しくなった。生まれてこの方、乳飲み子であやされた時から、実家を離れ帰省して迎えられ送り出された時のこと、失業してやむを得ず借金を頼んだ時のこと、そのほか私の生きてきた無数の記憶はもはや誰も知らない、私だけのものになってしまった。それらの記憶の上になされる会話も失ってしまった。それで、上掲の言葉の意味がわかりそうに思うのだ。今日は母の命日。