土井善晴

(土井善晴・中島岳志『料理と利他』21頁)

どんな食材を使おうか、どこでだれから求めるか、どこの産地のものなのか、どこの海で獲れたものか……「食材を通して多くの人や自然と関わっていることがわかる」(『一汁一菜でよいという提案』文庫版52頁)。

それから、野菜を洗って下ごしらえをする。ご飯を炊いて、菜を煮て汁を作り、魚を焼いて盛る。食卓にその皿を並べる。「生きるためには身体を動かし、立ち上がり、手を働かせ、肉体を使って食べなければならない」(同書42頁)。

「食事といったら『つくって、食べる』ものなのに」(『利他と料理』22頁)、現代の日本社会では「料理する(つくる)」を省略できる。

「となると、人間は食べるために必然であった行動(働き)を、捨てることになります。『行動(働き)』と『食べる』の連動性がなくなれば、生きるための学習機能を失うことになり、行動して食べることが心を育てると考えれば、大いに心の発達やバランスを崩すことになってしまいます」(『一汁一菜でよいという提案』44頁)。

著名な料理研究家である土井善晴氏はことばの名人でもあるようだ。はっとさせられる表現にあふれた著書2冊を組み合わせてその思考を追ってみた。

文献:『料理と利他 』単行本(ソフトカバー)– 2020/12/15(クリックでAmazonに移ります)