まど みちお

(『いわずにおれない』41頁)

まど みちお(1909-2014 山口県生まれ 本名:石田道雄)は詩人。童謡『ぞうさん』や『一年生になったら』の作詞家でもある。

「そもそもアリや菜の花っちゅう名前自体、人間が勝手につけたものですよね。われわれが社会生活をするうえでは名前がなくちゃ困るけれど、名前で呼ぶことと、そのものの本質を感じることは別なんじゃないでしょうか」

「なのに、『あ、チョウチョだ。あれはモンシロチョウか』と思った瞬間、たいていはわかったような気になって、その対象を見るのをやめてしまう……じつにもったいないことだと思います」(41頁)。

そこで上掲の助言が出てくるが、「……だけど、これが難しいんだなぁ」と続く。

難しい「最大の理由」は、「どんな存在も限りなく不思議で複雑だから。……人間は科学っちゅうものを使っていろいろやっとるけれど、限りある人間の能力じゃとても届かんぐらい、すべての存在が複雑精妙で珍しい。人間さまだけが特別ってわけじゃないのは確かです」(42頁)。

文献:『いわずにおれない』 (集英社be文庫) – 2005/12/16(クリックでAmazonに移ります)