ハンナ・アーレント

(『責任と判断』文庫版74頁)

ハンナ・アーレント(1906-75)はドイツ生まれのユダヤ人で、ヒトラーによるユダヤ人迫害を逃れてフランス、のちアメリカに亡命した哲学者。

引用したのは次の文に続く言葉である。

「ヒトラー体制において『尊敬すべき』社会の人々が、道徳的には完全に崩壊したという事実が教えてくれたのは、こうした状況においては、価値を大切にして、道徳的な規格や基準を固辞する人々は信頼できないということでした」

アーレントは1961年にイスラエルで開かれた元ナチス親衛隊アイヒマンの裁判を傍聴した。その報告をまとめた著書で、ナチス・ドイツの官僚として、組織の歯車として極めて有能に「任務」をこなしたアイヒマンに一類型を見て「悪の凡庸さ」を指摘した。

文献:『責任と判断 』(ちくま学芸文庫)  – 2016/8/8(クリックでAmazonに移ります)