戸谷洋志

(『スマートな悪 技術と暴力について』41-42頁)

引用箇所はこう続く。「自分で何かを思案したり、選択したりしなければならないものは、スマートではない。自分が望むだろう事柄を、先回りして達成したり、提案したりしてくれるテクノロジーこそが、スマートなのである」(同41-42頁)。

「超スマート社会(Society 5.0)」が目指すべき社会像としてはじめて打ち出されたのは、政府の第5期科学技術基本計画(2016–2020年度)である。「超スマート社会」とは、「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」と説明されている。

戸谷は、政府の掲げるこの「超スマート社会」の定義では、人間は「サービスを受けられ」る存在としてしか位置づけられていないことに注意を促す。「そのとき人間は文字通りただ受動的なだけの存在になる」。

この「超スマート社会」の実現は現行の第6期科学技術基本計画(2021–2025年度)でも掲げられている。

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