森 有正
(『遥かなノートル・ダム』「霧の朝」文庫版24頁)
森 有正(もり ありまさ 1911-1976)はフランス文学者で、1950年に渡仏してそのままパリにとどまり、26年間にわたりソルボンヌや国立東洋語学校などで日本語や日本の文学・思想を講じた。その傍で綴られた多くの随筆は、厳しい哲学的省察に満ちていながら、抒情的で美しい。森は、上掲の箇所のすぐ後のくだりで、次のようにも述べている。
「言葉には、それぞれ、それが本当の言葉となるための不可欠の条件がある。それを充(みた)すものは、その条件に対応する経験である。ただ現実にはこの条件を最小限度にも充していない言葉の使用が横行するのである」(同26頁)
文献:『遙かなノートル・ダム』 (講談社文芸文庫 もF 1) – 2012/10/11(クリックでAmazonに移ります)