安野光雅

(『絵の教室』95頁)

安野光雅(あんの みつまさ 1926-2020)は島根県の津和野町出身の画家で、想像力あふれる美しい挿絵や本の装丁、文章のない絵本などを多数手がけた。

安野は、花をスケッチするときには花を「ためつすがめつ、、、、、、、して」「花びらの数やその並び方、萼(がく)、おしべやめしべなどとの関係」や、葉と茎との関係が「互生なのか対生なのか、枝分かれしていたら、それはどこから出ているのか」というような「仕組み」を調べるよう教える(同書92頁)。

そして植物学の大家、牧野富太郎の精密なスケッチについて「描かれたものは、絵というより、正確で説明的な意味を持っているので図と言ったほうがいいかもしれません」としたうえで、「その図が細い線でできていることは注目すべきこと」と言い、上掲の言葉を続ける。

ところで、認識といえば、概念(ことば)による認識をあたりまえに考えるが、ここでは引かれた線が「ものを識別し認識したことのあかし」とされている。そう言われれば、なるほどそうだと思う。その線は、植物の仕組みを明らかにする「正確で説明的な意味を持つ」わけであるから。

文献:『絵の教室』 (中公新書 1827)  – 2005/12/20(クリックでAmazonに移ります)